産業観光学の呉西方面現地見学は,学生が2台のバスに別れ,高岡市と射水市の企業と観光施設などを視察。富山の産業の歴史を知り,伝統産業等についての理解を深め,産業観光の実体験を通し,意義やあり方を考察した。
高岡銅器の伝統的な鋳造現場を見学し,生型鋳造法の工程など高岡ものづくりの世界を見学。熟練した職人から若い職人がまでものづくりの現場で働く現場での課題やものづくりの可能性についてヒアリングした。ショールームでは同社を取材したTV番組視聴と,同社概要や錫製品への取り組み,産業観光への取り組みなどなどの説明を受けた。
国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている山町筋を各自散策し,明治中期から昭和初期に建てられた旧家や施設,整備された町並みを視察した。旧家を活用した店舗や今も当時のまま使われている店舗,資料館や見学施設として役割を変えている建物,観光案内・観光施設の状況などを見学した。
高岡山町筋にある土蔵造りの町屋と土蔵を利用したモノづくりを軸とした複合施設「HAN BUN KO」を視察。150年前の建物を改修し工芸品の加工・販売と工芸体験ができるスペースを見学。伝統産業の体験として錫のぐい呑製作などを楽しむ一般観光客の姿や土蔵空間を活用した工芸販売ギャラリースペースなど伝統的建造物を活かして体験型観光と伝統産業伝承をビジネスとして取り組む姿勢から地域観光について学んだ。
創業安永元年(1772年)の老舗醸造工場を視察。映像で同社の歴史や背景,麹づくり・味噌醤油づくりについての紹介を受け,伝統的建物が歴史を感じる工場内の見学をした。
高岡鋳物の発祥地・金屋町の民家を改修した資料館をガイドボランティアとともに見学。解説を聞きながら国の有形民俗文化財に指定された鋳物関係の古文書や高岡鋳物師を知る資料、高岡鋳物の名品などを貴重な展示物を目にした。
観光ガイドボランティアとともに石畳の金屋町付近を散策。同地区は「鋳物師の町」として国の重要伝統的建造物群保存地区に全国唯一選定されている。鋳物文化を今に伝える旧工場のキューポラや今も稼働している工場,町並み景観の特徴,旧家の構造や建物にある明治期前からの名残についてなど説明を受けながら町を歩いた。
20015年4月に富山に開設した富山BPOタウンで社屋や社内施設・社員寮などを視察した。同社アリーナで事業内容や企業についての紹介を受けた後,建物内を見学。業務スペースや会議室,カフェテラスやリフレッシュさせるスタジオスペース,託児所,社員寮などを視察した。
現地見学終了後に富山大学五福キャンパスC11教室で,産業観光学についての講話がおこなわれた。なぜ観光振興なのかについて,地方人口の減少による消費額の減少を観光で補う必要性を説明。国内における旅行・観光消費の経済波及効果や訪日外国人や国内旅行者の旅行消費額を示し,定住人口減少1人分の年間消費減少額は外国人旅行者10人分又は国内宿泊旅行者26人又は国内日帰り旅行者83人分で補えることから観光振興に積極的に取り組む必要があると話した。富山県の産業観光への取り組みについて説明し,県内の産業観光施設について,本日視察した呉西地区の3企業と後日視察予定している呉東地区の3企業の産業観光施設について紹介。産業観光推進によりもたらす「企業」「地域・自治体」「来訪者」へのメリットについて説明し,富山商工会議所が製作した富山産業観光図鑑や全国の産業観光を行う企業や製品について参考にし,今回の産業観光視察体験で得た知識を今後活動の一助としてほしいと話した。